薬剤師・杉本 忠嗣が考える薬と体、世界情勢のこと(ブログ)
習近平研究:支配体制と指導者の実像。鈴木隆教授(大東文化大学)
2025-11-28
習近平氏の軍粛清「台湾統一へ強軍建設急ぐ」鈴木隆・大東文化大教授
ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した鈴木隆氏
2025年11月14日 5:00
中国共産党が10月下旬に開いた第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、多くの軍高官が汚職などを理由に党籍剝奪といった厳しい処分を受けました。
習近平(シー・ジンピン)国家主席に近い幹部も複数含まれていたため、習氏の権力基盤が揺らいでいるのではないかとの見方も浮上しています。
「習近平研究 支配体制と指導者の実像」の著書で知られる大東文化大学の鈴木隆教授は、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し「習氏の権力が低下しているとは思っていない」と明言しました。
むしろ、習氏が軍を掌握しているからこそできる人事だ、というのが鈴木氏の見方です。
中国共産党、そして習氏の悲願が台湾統一であることは論をまちません。
それを実現するには、強い軍隊をつくる必要があります。問題は人です。
いくら最新鋭の装備で固めても、軍という組織が腐っていては戦争に勝てない。習氏がそう考えていてもおかしくありません。
鈴木氏は習氏が「情実人事や賄賂で出世してきたような能力不足の軍人がたくさんいる」と判断し、自分がかわいがってきた部下でも能力に問題があればためらいなくクビにしているとみています。
すべては台湾統一をにらみ、人民解放軍を強くするためだというわけです。
中国が台湾に軍事行動を起こすとすれば、そのリスクが高まるのはいつごろでしょうか。
鈴木氏は「2028年1月の台湾総統選挙でどういう人物が総統に選ばれるか」が大きな分岐点になると考えています。
独立志向が強い人物が台湾のリーダーになれば、習氏が軍事的な手段に打って出る可能性は排除できないでしょう。
中台の緊張が高まるのはまちがいありません。
ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した鈴木隆氏
2025年11月14日 5:00
中国共産党が10月下旬に開いた第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、多くの軍高官が汚職などを理由に党籍剝奪といった厳しい処分を受けました。
習近平(シー・ジンピン)国家主席に近い幹部も複数含まれていたため、習氏の権力基盤が揺らいでいるのではないかとの見方も浮上しています。
「習近平研究 支配体制と指導者の実像」の著書で知られる大東文化大学の鈴木隆教授は、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し「習氏の権力が低下しているとは思っていない」と明言しました。
むしろ、習氏が軍を掌握しているからこそできる人事だ、というのが鈴木氏の見方です。
中国共産党、そして習氏の悲願が台湾統一であることは論をまちません。
それを実現するには、強い軍隊をつくる必要があります。問題は人です。
いくら最新鋭の装備で固めても、軍という組織が腐っていては戦争に勝てない。習氏がそう考えていてもおかしくありません。
鈴木氏は習氏が「情実人事や賄賂で出世してきたような能力不足の軍人がたくさんいる」と判断し、自分がかわいがってきた部下でも能力に問題があればためらいなくクビにしているとみています。
すべては台湾統一をにらみ、人民解放軍を強くするためだというわけです。
中国が台湾に軍事行動を起こすとすれば、そのリスクが高まるのはいつごろでしょうか。
鈴木氏は「2028年1月の台湾総統選挙でどういう人物が総統に選ばれるか」が大きな分岐点になると考えています。
独立志向が強い人物が台湾のリーダーになれば、習氏が軍事的な手段に打って出る可能性は排除できないでしょう。
中台の緊張が高まるのはまちがいありません。
-----------------------------------------
権力志向 地方時代から
評・橋本五郎(読売新聞特別編集委員)
◇すずき・たかし=1973年、静岡県生まれ。大東文化大学東洋研究所教授。専門は政治学・中国政治。
凡庸のイメージが強かった政治家がなぜ毛沢東や鄧小平に並び称される「最高実力者」に上り詰め、2032年の共産党党大会まで君臨し続けるとみられているのだろうか。
その最大の疑問に、未公開資料なども駆使しながら正面から迫った極めて説得力ある書である。
習近平シージンピン には、保守主義の官僚政治家、誇り高き軍人政治家、そして四半世紀に及ぶ地方政治の経験者という三つの顔がある。
中でも著者が注目するのが、河北省―福建省―浙江省―上海市時代を通して培われた権力者への確かな歩みである。
政治における思想工作の重要性、組織における統制力と法秩序の重視、党活動における規律厳守と反腐敗の徹底という習近平政治の核心的要素は地方時代に形づくられた。
政治的人脈形成も地方時代に着々と行われていた。
胡錦濤フージンタオ 後継を決定づけた2007年の中央政治局委員選挙(意向投票)で多数票を獲得したのも単なる 僥倖ぎょうこう ではなかった。
数年前から投票実施に関する情報を入手、周到に準備したとみられる。
権力を掌握しようという習近平自身の主体的な意志と行動があったのだ。
習近平政治の特徴は、毛沢東が大衆運動を利用して官僚制への闘いを展開したのとは違い、官僚制を活用しながら腐敗など種々の逸脱の克服を目指すところにある。
長期政権を樹立できたのは、強運と権力への断固たる意志とともに共産党、政府、軍の官僚機構を熟知し、巧みに操作できる能力の高さにあったのだ。
習近平は米国に代わって覇権国になることを目標に、民主化運動による体制転換を阻止し、領土拡大と海洋進出を積極的に進めるだろう。
そして個人独裁化はますます強まるだろう。
その際の最も注目すべきは、現在「核心」と呼ばれている尊称が「 領袖りょうしゅう 」に格上げされるか、さらに党主席制を復活し自ら就任するかにあるというのが著者の見立てだ。
それを詳しく紹介できないのがもどかしい良書である。(東京大学出版会、7700円)
評・橋本五郎(読売新聞特別編集委員)
◇すずき・たかし=1973年、静岡県生まれ。大東文化大学東洋研究所教授。専門は政治学・中国政治。
凡庸のイメージが強かった政治家がなぜ毛沢東や鄧小平に並び称される「最高実力者」に上り詰め、2032年の共産党党大会まで君臨し続けるとみられているのだろうか。
その最大の疑問に、未公開資料なども駆使しながら正面から迫った極めて説得力ある書である。
習近平シージンピン には、保守主義の官僚政治家、誇り高き軍人政治家、そして四半世紀に及ぶ地方政治の経験者という三つの顔がある。
中でも著者が注目するのが、河北省―福建省―浙江省―上海市時代を通して培われた権力者への確かな歩みである。
政治における思想工作の重要性、組織における統制力と法秩序の重視、党活動における規律厳守と反腐敗の徹底という習近平政治の核心的要素は地方時代に形づくられた。
政治的人脈形成も地方時代に着々と行われていた。
胡錦濤フージンタオ 後継を決定づけた2007年の中央政治局委員選挙(意向投票)で多数票を獲得したのも単なる 僥倖ぎょうこう ではなかった。
数年前から投票実施に関する情報を入手、周到に準備したとみられる。
権力を掌握しようという習近平自身の主体的な意志と行動があったのだ。
習近平政治の特徴は、毛沢東が大衆運動を利用して官僚制への闘いを展開したのとは違い、官僚制を活用しながら腐敗など種々の逸脱の克服を目指すところにある。
長期政権を樹立できたのは、強運と権力への断固たる意志とともに共産党、政府、軍の官僚機構を熟知し、巧みに操作できる能力の高さにあったのだ。
習近平は米国に代わって覇権国になることを目標に、民主化運動による体制転換を阻止し、領土拡大と海洋進出を積極的に進めるだろう。
そして個人独裁化はますます強まるだろう。
その際の最も注目すべきは、現在「核心」と呼ばれている尊称が「 領袖りょうしゅう 」に格上げされるか、さらに党主席制を復活し自ら就任するかにあるというのが著者の見立てだ。
それを詳しく紹介できないのがもどかしい良書である。(東京大学出版会、7700円)



